エチオピアン航空のボーイング737MAX8が10日に首都アジスアベバ郊外で乗客乗員157名を乗せて墜落しましたが、昨年度10月にマレーシアで墜落した同型機との比較検証が始まっています。
どちらの事故も、航空会社は新品同様の機材を用いて事故に遭遇しています。(エチオピア航空は新品から4ヶ月目、ライオンエアは2ヶ月目)
新しい機材を用いて事故に遭遇していることからその安全性が疑問視され、世界中で運行中の同型機の運行取りやめが実施され始めています。
*13日午前追記:欧州航空安全機関（EASA）が12日、エチオピア航空が運航する「７３７ＭＡＸ８」の墜落事故を受け、欧州連合（EU）域内における737MAX8型機および同9型機の運航を一時停止することを発表しました。それに伴い、昨日から変わった情報をオレンジ色で追記しています。
*14日午前追記:トランプ大統領がボーイング社の737MAX機を運行停止する要請を出したことに伴いボーイング社が同型機の一時運行停止を推奨する声明を発表しました。それを受けての各国政府、航空会社の動きを緑色で追記しました。
1. ボーイング737MAX8はこれまでの機種と何が違う？
ボーイング737MAX8機は以下の点で大幅な進化を遂げています。
- エンジンの大型化(出力の向上)と静音化の実現
- 燃費の大幅向上(従来比10〜12%+)で航続距離が6,510キロメートルに
さらに、ライオンエア機の事故後、失速を防ぐため一定の環境下で強制的に機首を下げるソフトウエアが搭載されています。しかしながら、この新しい仕組みが導入されていることを知らないパイロットが少なくないことが判明。
今回、エチオピア航空機が墜落したのはこの新しい仕組みの導入をパイロットが知らなかった可能性もある・・・として検証がされています。
2. 世界のボーイング737MAX8の運用状況
ボーイング737は1967年の初飛行以来50年以上に渡って1万機以上が世界中に販売・運行されたベストセラー機です。
第4世代目のMAX8はこれまでの機種で安全性が担保されていたことから世界中の航空会社が現在まで利用し、また、ボーイング社に発注されてまいりましたが、今回のエチオピア航空の事故により同機種を取り巻く環境が大きく変わり始めています。
(1)フィジー航空
フィジー航空は2機保有し3機が今後運用される予定になっております。ニュージーランドのオークランド/オーストラリアのシドニーとフィジー間で運行されておりますが、オーストラリア政府が一時的な使用禁止を同航空会社に命じました。
(2)エアチャイナ
現在15機がエアチャイナのために製造中。中国民用航空局は国内で飛行している96機全ての一時的利用差し止めを決定しました。
(3)エアカナダ
24機の同機種が現在運行中ですが、現在のところ、カナダ政府は利用差し止めを命じず、また、同航空会社も運用を継続しております。→ カナダ政府の要請を受けて一時運行停止が決まりました。
(4)ウェスト・ジェット航空
カナダの格安航空会社のウェスト・ジェット航空もエアカナダと同様に保有中の13機の運用を継続しております。→ カナダ政府の要請を受けて一時運行停止が決まりました。
(5)サンウィング航空
同じくカナダの格安航空会社のサンウィング航空も他のカナダの航空会社と同様に保有中の4機の運用を継続中です。→ カナダ政府の要請を受けて一時運行停止が決まりました。
(5)ガルーダ・インドネシア航空
インドネシア政府が同航空会社が保有している１機のボーイング737Max8の利用差し止めを命じました。 同航空会社では73機の別型のボーイング737を保有しています。
(6)アメリカン・エアライン
24機を運用中ですが、現在も飛行中です。ちなみに300機以上の737型を保有しています。→トランプ大統領の命令で運行一時停止となりました。
(7)サウスウエスト航空
米国の格安航空会社は全ての機材をボーイング737で統一し管理コストを削減することで利益を出すことに成功しております。 その内34機がMax8機ですが、現在も就航中です。→トランプ大統領の命令で運行一時停止となりました。
(8)ノルウェイ航空
現在18台が就航中です。→13日午前、一時運行取りやめとなりました。
(9)アエロメヒコ航空
メキシコ最大の航空会社では8台の機材運用を一時的に取り止めています。
(10)アルゼンチン航空
５機の運用停止中です。→13日午前、一時運行取りやめとなりました。
(11)ケイマン航空
カリビア海に浮かぶ島の航空会社では2台保有している機材の運用を一時的にやめています。
(12)コムエアー
南アフリカ共和国の航空会社では一時的に同型機の運用を取り止めています。
(13)イースタージェット航空
韓国の格安航空会社では8台の機材の一時的運用取りやめを決定しています。
(14)TUI航空
ドイツの格安航空会社では15台の同型機の運行を継続しています。→13日午前、一時運行取りやめとなりました。
(15)アイスランド航空
3台の同型機の運行は継続中です。→運行一時取りやめが決まりました。
(16)フライドバイ航空
11機の同型機が現在も就航中です。→運行一時取りやめが決まりました。
(17)ゴル航空
ブラジルの航空会社では7台の同型機が現在も就航中です。→13日午前、一時運行取りやめとなりました。
(18)エチオピア航空
4台の機材は一時的に運用停止状態にあります。
(19)ライオン航空
シンガポール政府の要請で10台の機材が運用差し止め状態にあります。
(20)13日午前に一時運行取りやめが追加で発表された各国政府と航空会社
イギリス、ドイツ、フランス、アイルランド、オーストリア、ノルウェー、オマーンの国内
(21)トランプ大統領の737MAX8機運行停止要請を受けて
13日のトランプ大統領の発表を受けて、以下の国内でMAX機の運行が停止になりました。
イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、オランダ、デンマーク、ベルギー、ギリシャ、アルバニア、ジョージア、ウクライナ、キプロス、エジプト、イラク、コソボ、レバノン、シンガポール、香港、マカオ、インド、インドネシア、ベトナム、カザフスタン、クゥエート、モンゴル、トルコ、セルビア、アラブ首長国連邦、ニュージーランド、カナダ、アメリカ。
また、それに伴い、以下の航空会社で同型機の運行が一時取りやめになっております。
シンガポール航空、Spiceair(インド)、MIATモンゴル航空、トルコ航空、ユナイテッド航空(米)、ロイヤルエアモロッコ、JetAir(インド)、LOT Polish Air(ポーランド)、S7航空(ロシア)、モーリタニア航空、Copa Airline(パナマ)
・・・とこの様に、各航空会社と各国政府のBoeing737MAX8機の安全性に関する見解が分かれております。
全ての航空会社がBoeing737 MAX機の運行を一時的に取りやめております。
一方で日本ではどの様な動きになっているのでしょうか？
3. 日本のボーイング737MAX8運行状況
日本の航空会社では、現在737MAX8が運用されていませんが、以下の方針が決定していました。 今回の事故により、どの様な影響が出てくるか？今後見守っていくことが必要です。
(1)日本航空
傘下の日本トランスオーシャン航空にて2016年から、現在主力の737-400型機を800型に切り替える計画が進められていますが、800機をMAX機に変更できる旨がボーイング社との間での契約に盛り込まれているため、MAX8型導入の可能性もあります。
今後の予定は未定です。
(2)全日空
今年に入って30台のMAX8を発注していますが、現在は動向を見守っている最中です。
(3)スカイマークエアライン
2018年以降に現在主力の737-800型からMAX機に置き換えることを発表しましたが、現在はプロジェクトそのものが停滞している状況にあります。
いずれにせよ、今の状態でしたらMAX8に国内で搭乗する可能性は皆無ですので安心ですよね？
(4)外国の航空会社
トランプ大統領の発表を受けて、日本にMAX機で乗り入れている外国の航空会社全ての同型機の運行が停止になりました。
航空会社名：中国の厦門航空と山東航空、シンガポールのシルクエアー、韓国のイースター航空。
4. 自分の搭乗機がBoeing737MAX8か事前確認する方法
航空券にどんな機材が使われているか印刷されているのでそれで確認することもできますが、わからなくて心配でしたら、以下のHPから機材をご確認いただけます。
http://flightstats.com
5. まとめ
Boeing737 MAX8は短い間に2回も墜落事故をおこし、数百名の尊い命を失ったことから安全性が懸念されている機材です。
そのため、旅行に向かう際に、搭乗機が当該機材でないか心配になることと思われますが、あらかじめ上で説明した様な方法で確認されてみてはいかがでしょうか？
とりあえず、現段階では国内で当該機に乗る機会は無さそうですので安心ですよね？
最後にお亡くなりになられた方達のご冥福をお祈りし、ボーイング社には早期問題解決の実現を期待することで本記事の結びとさせていただきます。
