中国の東方新報によりますと、2019年版グローバル・ファミリーTop500企業でアジア1の座をいとめたのは許可印一族が代表を務める中国の恒大地産集団のだそうです。
【4月2日 東方新報】国際的会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)とスイスのザンクトガレン大学(University of St.Gallen)が共同で発表した2019年「グローバル・ファミリー企業500社ランキング」によると、ランク入りした上位10社のうち米国企業が5社、ドイツ企業が4社という結果になった。1位は小売大手の米ウォルマート(WalMart)、次いで自動車メーカーのフォルクスワーゲン(VW)、3位は米投資家のウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏が率いる世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)となった。
中国企業では恒大集団(Evergrande Group)が25位となった。
同ランキングは、各企業の年度営業収入に基づき、特定の家族が企業に対する支配力を持つ同族企業、すなわち持ち株50%以上の非上場企業、持ち株32%以上の上場企業を対象にしている。
地域別にみると、500社のうち46%を占めた欧州の同族企業の勢力が強く、次いで北米が30%、アジアは19%だった。また500社中122社が米国企業で、総営業収入は2兆3500億ドル(約260兆円)に上るが、企業数は前年ランキング時よりも4社少ない。ドイツ企業は79社で前年比で13%増加し、総営業収入は1兆4200億ドル(約157兆円)だった。
また恒大集団以外で上位50位にランク入りした中国企業は、正威国際集団(Amer International Group)が27位、美的集団(Midea)が36位、不動産企業の碧桂園集団(Country Garden)と万達集団( Wanda Group)がそれぞれ38位、41位に入った。(c)東方新報/AFPBB News
出展:https://www.afpbb.com/articles/-/3213088?cx_part=latest
(ちなみに、同ランキングは http://familybusinessindex.com/のサイトでご覧いただけます。
そして、日本人のトップ家族企業は85位につけるサントリー・ホールディングスの佐治一族で2位はユニクロの柳井一族で98位でした。)
そんな大富豪の許家印さんですが、日本ではあまり良く知られていませんので調べてまいりました。どうぞ。
1. 許家印のプロフィール
許家印氏は1958年10月9日に河南省(周口市太康県)の貧しい村に生まれました。
許氏の父親は1937年から45年まで続いた日中戦争の退役兵士で、戦後は故郷で倉庫管理人となります。
母親は敗血症で許氏が生後わずか8ヶ月の時に亡くなり、彼は父親側の祖母に育てられました。
高校卒業後はセメント工場で工員として働いていたこともありますが、1978年には武漢鋼鉄大学(現在は武漢科技大学)に復学しクラスを代表し衛生管理を担当しています。
1982年に大学卒業。その後、河南省の鉄工所(中国語: 舞阳钢铁公司)で技術者として働き、1983年にAssociate Director(副部長)にそして1985年にはDirector(部長)に昇進しています。
そして7年間この鉄工所で部長職を勤め上げた後、1992年に広東省の深圳市(中国の経済特化地域)に移りZhongda(中国語: 中达)という貿易会社に転職。
そして1年後にはエリアマネージャーに昇格します。
その後1994年10月1日に広東省の首都広州市に移りGuangzhou Pengda Industrial Co., Ltd. (中国語: 广州鹏达实业有限公司)を設立後は、1997年3月に20人弱の従業員と不動産の事業会社-恒大地産集団を創業しています。
恒大地産集団ではそれまで中国にはあまり存在しなかった小さくまとまった集合住宅を中心に開発し商品化することで2004年には広州市最大の不動産デベロッパーに成長することに成功しています。
現在は、広州市で妻のYang Huiying(杨惠英)さん(河南省の鉄工所で出会われました)と二人のお子さんと一緒に住まれています。
現在は中国人民政治協商会議のメンバーでもあります。
また、 許氏は2016年、教育分野などに2億6000万ドル(約290億円)を寄付し、2017年フォーブスチャイナの慈善家リストの2位になりました。
そして2018年9月28日のスピーチで、「社会への還元は民営企業の責任だ」と述べ、企業としても脱貧困支援で2020年までに貴州省の低所得者へ総額110億元(約1800億円)を拠出すると表明しています。
出展:https://forbesjapan.com/articles/detail/18826
2.恒大地産集団とは
恒大地産集団とはThe Evergrande Group若しくはEvergrande Real Estate Groupと呼ばれ、中国で2番目の売上額を誇る不動産会社を核とした事業体です。
2017年時点で、グループの従業員数は10万2454人。2017年前半に新卒3622人を採用。
広東省南部に本社があり(本店所在地はケイマン諸島)、主に富裕層から中の上流階級を顧客層としてアパートを販売しています。
そして2018年には世界で最も資産価値が高い不動産会社として評価されています。
4,580,000平米の土地を22の都市 (広州市、 天津市、瀋陽市、武漢市、昆明市、成都市、重慶市、南京市、鄭州市、洛陽市、長沙市、南寧市、西安市、太原市、貴陽市等) で保有し中国本土では最大級の土地開発事業主でもあります。
現在は海南省にあるオーシャン・フラワー・アイランド(中国海花島)の開発に力を入れており、中でもEvergrande Plazaはイギリスの著名建築家のキース・グリフィス氏が代表を務めるAedas建築事務所がデザインした近未来デザインな建物として有名です。
不動産事業以外では、2010年に広州のサッカークラブを1500万ドル(約17億円)で購入しGuangzhou Evergrande F.C.(広州恒大)と命名。イタリアのマルチェロ・リッピ監督及び様々な一流サッカー選手を世界中から獲得し2013年にはAFC Champions Leagueで優勝しています。
また、当クラブにはアリババグループが2014年に1820万ドル(約20億円)を出資し、広州恒大淘宝足球倶楽部と名前を変更。2017年6月時点で、クラブの57%を恒大集団、37%をアリババが保有。同クラブは中国のスーパーリーグで7年連続優勝している。
出展:https://forbesjapan.com/articles/detail/18826
更に、参加のEvergrande Healthは米国の電気自動車のベンチャー企業Faraday Future社の株式を$2 billion(約220億円)で購入することにより45 %のシェアを所有する大株主になり、電気自動車産業への進出も果たしています。
それ以外では、ミネラルウォーターのEvergrande Spring (恒大冰泉)販売、サッカー教室、太陽光発電、養豚所、大規模農業ビジネス、そしてベビー用品の販売など多岐にわたり170の都市で事業が運営されているとのこと。
恒大地産集団は2009年10月に香港市場に上場し、$722 million (約800億円)の資金調達に成功。
一時期中国一のお金持ちであった、アリババ.comのCEOジャック・マー氏も株主であります。
2017年には収益が大幅に拡大し売り上げと利益両方で前年度から3桁の伸び、株価は1年前の5.44香港ドルから5倍以上の値上がりとなっています。
その為、恒大集団の株式の77%を保有している許家印氏とその家族は、中国そしてアジアでも1、2位を争う資産家に短時間で成り上がったのでした。
3.許家印氏の華麗なライフスタイル
米国のForbes誌によりますと、2019年4月現在、許家印氏の総資産は$38billion(約4兆2321億円)です。
出展:https://www.forbes.com/profile/hui-ka-yan/#4552c37d372b
使いきれないくらいのたくさんのお金を持っておられますが、その内の一部、豪邸やヨット、自家用機の写真などをご紹介させていただきます。
(1)許家印氏のヨット
ヨット名:Event
長さ:205Feet (62メートル)
最高速度:16.5 knots (30.558Kg)
最長航続距離:5,000 nautical miles (5,000浬=9,260キロ)
最大収容客数:12名(6つの客室)
クルーの数:15名(7の船室)
お値段:$80Million(約880億円)
設計者:Tim Heywood氏
その他:ヘリポート付き。
元々この船はロシア人の富豪が2013年に依頼し造られたものだったのですが、2015年に許氏に売りわたされています。
出展:https://www.superyachtfan.com/superyacht/superyacht_event.html
動画もありました。
(2)許家印氏の自家用機
機種名:Boeing BBJ/ボーイングビジネスジェット(737ベース)
お値段:$90Million〜 (最低100億円〜)
こちらを日本で販売している商社の双日様のHPによりますと、
小型旅客機の代表格で親しまれているボーイング737‐700型機(130席程度)とプラットフォームを同じくする派生型のボーイングビジネスジェット(通称BBJ)は、一般的な大型ビジネスジェットと比べて約3倍の室内スペースが確保されており、10名以上の旅客を搭乗させても快適性を維持したまま、世界約半周をノンストップでの飛行が可能です。
機内レイアウトは、ご希望によりラウンジ、ダイニング、会議室、寝室、シャワールーム等お好みのデザイン設計が可能です。今日までにボーイング737型旅客機は、11,000機以上販売されてきており、その派生型であるBBJ、BBJ 2、BBJ3はその圧倒的な信頼性をそのまま受け継いでいるだけでなく、世界各地でメンテナンスサービスを受けることができます。
出展:http://www.sojitz-bizjet.com/Jet-Lineup-Page/bbj/index.html
・・・だそうです。
乗員:2名
最大顧客収容数:20名
最長航続距離:6,270 NM (11,612 KM)
最大巡航速度:Mach 0.82
・・・これだけ飛べると日本からならヨーロッパや北米、オーストラリアあたりまで無給油で行けます(中南米とアフリカはきつそうです)。
内装:これは許氏の自家用機の内装とは異なります。ボーイング社によるサンプル機の動画です。
(3)許家印氏の豪邸
こちらは許氏がオーストラリアのゴールドコースと(正確にはPoint Piper mansion, Villa del Mare, in Sydney)に一旦保有していた豪邸です。恐らく他にもお持ちでしょう。
値段:$40Million (約44億円)
オーストラリアの法律では一部の物件を外国人が所有することができない決まりとなっているので90日間だけ所有していた・・・とのこと。
広さ、部屋の数・・・とかは不明。 オーストラリアの物価は日本より高いですが、土地は余っている筈なので東京で同じくらいの大きさの家を同じ値段で買うことは出来ないと思いますが、それにしても大きいですね。
4.ネットの声
この様な贅を尽くしたライフスタイルの許家印氏、ネットではどの様に思われているのでしょうか?
中国富豪ランキングの1位(馬雲)、2位(許家印)がオーナーの広州恒大淘宝というクラブは、改めて凄いと思った。https://t.co/Ry9w2OpeYo
— 橋本 浩之 (@qiaoben1967) 2018年10月12日
許家印を始めとしてメディアに出ない富豪はたくさんいる。>>日本人が知らない中国のトップ富豪「許家印」に関する10の事実 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) https://t.co/iMjRuez9qA
— Mr.Popo (@popo_money) 2018年1月18日
デベロッパー大手の中国恒大集団の許家印主席は資産が414億USDとなり、IT大手の騰訊(テンセント)の馬化騰董事長兼最高経営責任者(CEO)の410億USDを抜き、中国でトップの富豪に。 #中国
— China Tips by myokoi (@myokoi1962) 2018年8月31日
広州恒大オーナー許家印は激怒し、夏の移籍市場中に全外国人選手の入替及び、中国人選手も大幅な入替を支持したとの報道。このクラブはホントにやりかねない
— ZZ (@guojiadui) 2018年5月20日
いままでジダン辞任と聞いてすぐ電話してくるのが許家印だったが、いまじゃ三木谷かもしれない…(´-ω-`)
— 大坂飛脚 (@gambachn) 2018年5月31日
・・・やはりすごいという声が多かったですね。 それと日本人にはあまり知られていない・・・ということも良くわかります。
5. まとめ
貧しい生まれでも正しい方向で努力をし続けることをすれば運が味方しお金持ちになることができる・・・というチャイニーズ・ドリームを体現化された方ですね。
また、中国の経済成長と都市開発の波に上手く乗ることができたのも彼がお金持ちになることができたひとつの大きな要因に思われます。
そして富を社会に寄付することで貢献されている点についてとても好感が持てました。
日本の経済は成長が鈍くなっておりますが、この様なお金持ちが今後日本でも現れる様になって欲しいものですね。
日本頑張れ!!