共同通信によりますと、ウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ氏が籠城していたエクアドル大使館で逮捕されたことが判明しました。
ロンドン警視庁、ウィキリークス創設者逮捕
【ロンドン共同】ロンドン警視庁は11日、ロンドンのエクアドル大使館に籠城していたウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジ氏を大使館で逮捕したと明らかにした。
出展:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190411-00000134-kyodonews-int
米国のイラクやアフガニスタンでの戦争に関する公文書など行政の中枢となる機密情報をネット上で公開していたことから物議を醸し出していたウィキリークスですが、その創設者のジュリアン・アサンジ氏が逮捕された理由は? なぜエクアドル大使館で逮捕されたのか? 大使館に籠城していた理由は? まとめてみました。
1. ジュリアン・アサンジ氏プロフィール
ジュリアン・ポール・アサンジ(Julian Paul Assange )氏はオーストラリア出身の1971年7月3日生まれ、内部告発/情報漏洩情報を伝えるウェブサイト・ウィキリークスの広報人、編集長として広く認知されています。
ウィキリークスを創設する前はプログラマ、ハッカーとして活動していた経験があります。
アサンジ氏はウィキリークスでケニアで起きた虐殺に関する報道をおこない、2009年にアムネスティ・インターナショナル国際メディア賞を受賞しています。
また、『エコノミスト』誌による2008年「表現の自由」賞、2010年にはサム・アダムス賞を受賞。
『Utne Reader』誌は「世界を変える理念を持つ25人」の一人に彼を選出しています。
『ニュー・ステーツマン』誌では2010年の「世界で最も影響力のある50人」に選ばれ、同年、『タイム』誌の2010年「パーソン・オブ・ザ・イヤー」で読者投票部門の1位に選ばれた・・・という数々の権威ある賞を受賞しています。
そして、これまでに以下の情報を公表しています。
- コートジボワールにおける有害物質の大量廃棄による環境被害
- サイエントロジー教会のマニュアル、グァンタナモ米軍基地の作業手順
- カウプシング銀行やジュリアス・ベアなどの銀行などに関する情報
- 米軍によるアフガニスタンでのイラク戦争への関与に関する機密情報
- アメリカの外交機密文書
特にアメリカの機密情報が多々、漏洩していたことからアメリカ合衆国政府はアサンジ氏の行為を非難し、政治犯扱いとして注意して動向を見守ってきました。その様な状況下、アサンジ氏は2010年にスウェーデンで二人の女性と合意無しで避妊具を使用せずに性行為を行なった疑い(性行為は合意、避妊具を使用しなかったのが非合意)で捜査が行われ、逮捕状が発行されていました。一旦は証拠不十分で解放されたものの、スウェーデン政府がアサンジ氏の就労ブザを取り上げたため、氏は英国に移ることに。しかしながら、英国に移ってからも上記の容疑でインターポール経由でスウェーデン警察はアサンジ氏の引き渡しを繰り返し要請し続けていました(明らかにはなっておりませんが、アサンジ氏を本件で逮捕し、米国政府に引き渡すことが画策されていた模様)。
再び2012年6月に上記の容疑でアサンジ氏のスウェーデン政府への引き渡しが決定したのですが、アサンジ氏は反米左派政権のエクアドルへの亡命を目指しロンドンの駐英エクアドル大使館に政治亡命で立てこもり始めます。
そして、エクアドル国籍を得ることもできたのですが、大使館より一歩外を出ると上記の容疑でロンドン警察が逮捕し、スウェーデン政府に輸送する姿勢を崩さなかった為、本日まで7年近くの籠城が続いていました。
しかしながら、本日、エクアドル政府とアサンジ氏の間で均衡が崩れ、イギリス警察によって逮捕されてしまったのでした。
2. アサンジ氏がエクアドル大使館で逮捕された理由
アサンジ氏がなぜこのタイミングでエクアドル大使館で逮捕されたのか?外国メディアは以下の様に報じています。
↑この白髪の髭面の男性がアサンジ氏です。ずいぶんやつれていますね。
News
Julian Assange sues Ecuador for better asylum terms
Wikileaks founder Julian Assange has filed a lawsuit against the new asylum terms imposed by the government of Ecuador. His lawyer said that Assange has been “held in inhuman conditions for more than six years.”
出展https://www.dw.com/en/julian-assange-sues-ecuador-for-better-asylum-terms/a-45964285
今年に入って、アサンジ氏はエクアドル政府が彼を人間的な生活が許されない過酷な環境においていることを裁判で訴えました。
Ecuador ‘fed up’ with Assange embassy ‘under siege’
Ecuador’s Foreign Minister Guillaume Long says there is concern about the health of Julian Assange, who has now been in London’s Ecuadorian Embassy for four years.
He told Zeinab Badawi: “We are concerned about his health. He doesn’t have access to good health care. We are very worried about this. After four years, there is a clear deterioration.”
The Wikileaks founder sought refuge in the embassy in 2012 to avoid extradition to Sweden to face accusations of sexual assault, which he denies.
Mr Long said: “Ecuador is getting very fed up with this. It is an embassy under siege. You try making a phone call from the embassy and see if that works. It’s probably one of the most spied on embassies in the world.”
But he said there were no regrets about the decision to offer Mr Assange refuge.
出展:https://www.bbc.com/news/video_and_audio/headlines/36577595/ecuador-fed-up-with-assange-embassy-under-siege
エクアドルの外務大臣、Guillaume Long氏は、アサンジ氏をロンドンの同国の大使館で匿い続けてきたことに疲れてきた・・・とイギリスの国営放送BBCのインタビューに答えています。
また、今週初めにはウィキリークスが記者会見を開き、大使館の職員がアサンジ容疑者に対する諜報活動を行っていると批判したりすることで、アサンジ氏とエクアドル政府との関係がひどく悪化していたことが判明しています。
この様な要因からエクアドル政府はアサンジ氏をこれ以上匿い続けるのを拒否し、退去するよう要請がされていた模様です。
3. エクアドル政府の声明
エクアドルの大統領のレニン・モレノ氏は以下の声明を発表。
Ecuador decidió soberanamente retirar el asilo diplomático a Julian Assange por violar reiteradamente convenciones internacionales y protocolo de convivencia. #EcuadorSoberano pic.twitter.com/V02pvvtPY0
— Lenín Moreno (@Lenin) 2019年4月11日
要約「エクアドルは寛大で偉大な国ですが、長年政治的理由の為、ロンドン大使館で匿い続けてきたジュリアン・アサンジ氏が我々に対して攻撃的且つ無礼な行動が目に余る様になってまいりましたので、この度、彼を国外退去処分とすることを決定致しました。彼が大使館から退出するにあたり、英国政府が身柄を確保するものと思われますが、彼の一連の活動にあたって極刑(死刑)が科される国への引き渡しが無いことを英国政府にはお願いしたいと思います。また、今回の決断の数日前にウィキリークスにて記者会見があり、エクアドル政府の悪事をあばく声明を発表しましたが、我々は全く恐れておりません。我々は国際的な常識と秩序を重んじる国家ですので、その様な脅しに屈することはありません。」
4. ネットの声
ジュリアン・アサンジ逮捕、おそらく今後は米国へ送還か。米下院のトランプ調査で超重要証人となる。ロシア政府の出方に注目。米民主党サーバー、ヒラリー、ポデスタ漏洩データ取得の経緯が本人の証言でどこまで明らかになるか(既に米諜報筋はかなり把握している模様だが)
— deepthroat (@gloomynews) 2019年4月11日
アサンジ逮捕はまじで暗いニュースだぞ
組織が悪いことしてても告げ口したやつが罰せられる世の中なんだぜ— ∵ @コインチェック (@btc_dakara) 2019年4月11日
なるほど、エクアドル大使館が英国の警察を大使館に招き入れ、つまりアサンジ氏は大使館内で逮捕と。ロイター電。https://t.co/Mzlt8qrBQ3
— Erika Toh (藤えりか) (@erika_asahi) 2019年4月11日
リーダーのアサンジが逮捕された
寄附してくれ
とウィキリークス。全く同情しないし、寄付する気にはならない。 https://t.co/PEW3JQSibk
— Kazuto Suzuki (@KS_1013) 2019年4月11日
5. まとめ
アサンジ氏は長年の大使館内での窮屈な生活に疲れ切ったのでしょうね。
そもそも英国内の大使館に逃げた時点で、そこから一歩でも外にでると英国の警察の手がおよんでしまいますのでどうしても逃げきれなかったと思うのですが・・・。
恩を仇で返したから当然のむくい・・・という見方ができないこともないですね?
今後アサンジ氏がスウェーデン政府に引き渡されるのか?米国に引き渡されるのか?どんな刑を受けなければならなくなるのか?見守っていきたいと思います。