世界最大級の闇サイト、ウォールストリート・マーケットの運営者が逮捕されサイトが閉鎖においこまれました。
世界最大級の闇サイト摘発 欧米当局、百万人超利用か
【ベルリン共同】ドイツと米国の捜査当局は3日、世界最大級の闇サイト「ウォールストリート・マーケット」を運営したなどとして両国の5人を逮捕し、サイトを閉鎖したと発表した。同サイトでは薬物や銃器、偽造書類など6万以上の「商品」が違法に売り出され、ドイツメディアによると、100万人以上が利用し、約5400人が売り手として登録していた。
同サイトは匿名化ソフトを使ってのみ接続できるネット空間「ダークウェブ」上で世界2位の規模の違法売買サイトだった。ダークウェブは犯罪の温床となっており、各国が捜査を進めている。
出展:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190504-00000009-kyodonews-int
この記事では、ウォールストリート・マーケットがどんなサイトだったかということに焦点をあてて解説させていただきます。
1.ダークウェブとは
ダークウェブの説明はセキュリティソフト会社のノートンによって詳しく解説がされています。
1.通常の検索エンジンではヒットしないダークウェブの世界
ダークウェブは通常の検索エンジンで見つけることができません。それではどこにあるウェブのことなのでしょうか。最初にその基本を解説します。
1-1.ダークウェブとは
ダークウェブとは「闇ウェブ」とも言われており、名前の通りウェブサイトの一種なのですが、通常のGoogleなどの検索エンジンで見つけることはできず、またChrome、Firefox、Safariなど、普段私たち使用する通常のウェブブラウザで閲覧することもできないウェブサイトのことです。
専用の閲覧ソフトを使わなければ見ることができず、匿名性が極めて高いことから光が当たりにくい奥底にあるというイメージも相まって、ダークウェブと呼ばれています。
1-2.ダークウェブと通常のウェブとの違い
私たちが普段閲覧しているウェブは、ダークウェブに対してサーフェイス(表層)ウェブと呼ばれる空間です。この関係を氷山に例えると、海の上に見えているのが私たちにおなじみのサーフェイスウェブで、水面の下に一般のユーザーは簡単には閲覧できないディープ(深層)ウェブがあり、さらにその下に特別なツールを使わないと閲覧不可能なウェブ空間である、ダークウェブがあります。
そのイメージを図にすると、このようになります。
出展:https://zatsugaku-mystery.com/dark-web/
「氷山の一角」という言葉があります。海面に見えているのは全体のほんの一部であり、海面の下にそれをはるかに上回るものが隠れているという意味合いです。
実際に、ダークウェブを含むディープウェブの規模は私たちが普段アクセス可能なサーフェイスウェブの400倍から500倍とみられており、非常に膨大な情報量がそこに存在しています。
この記事が取り上げているのは、一番奥深くにあって特別な環境を用意しないと閲覧ができないダークウェブです。
1-3.ダークウェブの仕組み
ダークウェブが持つ最大の特徴は、その匿名性の高さです。世界各国にある複数のサーバーを経由してアクセスするため、アクセス元の特定が困難になる仕組みになっています。
この技術は「オニオン・ルーティング」と呼ばれており、まるでオニオン(玉ねぎ)のように何層にも重なることでその中心にあるユーザーを隠すことをイメージしたネーミングです。
1-4.ダークウェブはなぜ生まれたか
今でこそダークウェブは闇サイトやアンダーグラウンドマーケットの温床になっているイメージがありますが、元々は米国海軍によって開発されたもので、匿名性を確保することで情報通信の秘匿性を確保するという目的がありました。
米軍が諜報活動に利用するために開発した技術がルーツになっているため、独裁国家の反体制派や内部告発者、ジャーナリストなどが自身の安全のために完全な匿名性を維持したまま通信できる場所として発展し、言論の自由が制限されている国などで情報を自由にやり取りするために今も活用されています。
しかし、その匿名性の高さは犯罪者にとっても好都合なものとなっており、「ダークウェブ=闇サイト、違法サイトの温床」というイメージが形成されてしまったのです。
出展:https://japan.norton.com/dark-web-9667
さて、この様なダークウェブサイトで世界2位の規模を持つウォールストリート・マーケットとはどんなサイトだったのでしょうか?
2.ウォールストリート・マーケットとは
米国のダークマーケットの専門家はウォールストリート・マーケットを以下の様に解説しています。
出展:https://www.deepwebsiteslinks.com/wallstreet-market-review/
総評:ウォールストリート・マーケットは競合サイトよりも出品数が少ないサブ的なダークウェブサイトである。
しかしながら先端技術を駆使した品々は粒ぞろいで、2019年4月30日に閉鎖されたDream Marketの代わりとなることが期待されている。
2019年3月4日時点で約104万人の顧客、4,800名の出品者、21,335の商品が登録されている。
また、ほとんどのダークウェブサイトでは顧客の評価が渋めのものが多いが、ウォールストリート・マーケットは約5から7%の否定的な評価しかないことから安心して利用できるものと思われる。
1). ユーザー・インターフェース – 5/5
大変使いやすくわかりやすい状態にレイアウトされている。画面は以下の通り。
出展:https://www.deepwebsiteslinks.com/wallstreet-market-review/
ほとんどのダークウェブサイトと同じ様に左側に商品カテゴリーが配列されていて、上部で検索ができる様になっている。
商品の陳列は見栄えを重視し、一度に6商品をひとつの画面で紹介するのにとどまっており、何百もの商品が一堂に配列されている中で欲しいものを選ばなければならない・・・というおとはない。
そして優良商品販売者や新製品の特集などをおこなっておりユーザーにとって使いやすいサービスの提供を心がけている。
そして商品の下にはビットコインとモネロで価格表記されており支払い方法もシンプルで大変わかりやすい。
2). サービス/商品– 4/5
a). 違法薬物
12,081種類の違法薬物が展示されている。
ちなみにこれは全体の商品の50%のシェアを占める
種類は以下の通り。
- 大麻関連商品-マリファナ、ハッシッシ、食用大麻、種、合成大麻
- MDMA
- ベンゾ
- 覚醒剤
- コカイン
- メタンフェタミン
- スピード
- 鎮痛剤
・・・などなど。
b). デジタル海賊製品
3,339 品が出品中。
- ソフト
- 電子書籍/情報商材
- ゲームの攻略法
- その他
ほとんどが商品を安く購入するためのクーポンだったりする。
ポルノサイトへの侵入方法、ピザやマクドナルドを無料で食べる方法、スパムツールなども販売。
c). ガイド・チュートリアル
2,593 商品が出品
商品は、
- 詐欺テクニック
- 違法薬物の購入、取り扱い
- ハッキング・クラッキング
- その他
・・・などなど。
この商品群の中では、詐欺テクニックが大半を占める。
詐欺については、クレジットカード情報、銀行情報を違法に入手する方法がほとんどである。
d)その他
- 宝石・貴金属類
- 他人のカードで購入された商品の安売り
- ソフトウェア・ライセンス・キー(非合法)
- その他
これらについてはそれほど品数が多くない。
3). 安全性 – 5/5
ダークウェブサイトの取引上、出品者と購入者が詐欺にあうことが少なくないが、ウォールストリート・マーケットについては安心できる。
購入者と出品者は個人情報を登録した上で利用することが求められるためだ。
また、出品者と購入者は独自の仕組みで評価がされるのでそれを参考に取引が円滑に行われる仕組みとなっている。
出展:https://www.deepwebsiteslinks.com/wallstreet-market-review/
また商品の品質管理もしっかりしている(評価者がこれまでに使用したダークウェブサイトで品質管理をおこなっていたのはここともう一つのサイトのみだったとのこと。)
ウォールストリート・マーケットの研究室にて実際にその信頼性、妥当性および品質が評価されているとのこと。
公明正大でガラス張りの取引が実現する様に、PGP暗号プログラムでのログイン、通貨の取引はMultiSigが必要となっており、また詐欺防止のため、エスクロー取引制度も導入されているとのこと。
4). 検索のし易さ – 5/5
- 出品数
- 商品/出品者の評価
- 商品の受け取り方法
- 販売者の実在性の確認
- 支払い方法
- 支払い通貨
が商品毎に明確になっており大変使いやすい。
5). 支払い通貨 – 2/5
- Bitcoin
- Monero
にのみ限定されていて他に選択肢が無いのが寂しい。
出展:https://www.deepwebsiteslinks.com/wallstreet-market-review/
3. まとめ
犯罪者のためのデパートといった感じでしょうか?
犯罪者にとっては使い勝手が良い闇サイトみたいだった様ですね。
こういう反社会的サイトは存在そのものが怖いですね。