ノルウェー人の旅行者ビルギッタ・カレスタッドさんがフィリピンで身寄りのない子犬を拾い噛まれたことで狂犬病を発病したことがニュースになっています。
ノルウェー人女性が狂犬病で死亡、旅先のフィリピンで助けた子犬にかまれる
【AFP=時事】休暇で訪れていたフィリピンで、24歳のノルウェー人女性が助けた子犬にかまれ、狂犬病により今週亡くなった。遺族が9日夜に明らかにした。
ノルウェーの病院に勤務していたビルギッタ・カレスタッド(Birgitte Kallestad)さんは2月、友人たちと休暇で訪れていたフィリピンでオートバイに乗っていた際、道端で「寄る辺のない」子犬を発見。
カレスタッドさんの遺族は9日、「ビルギッタは子犬をかごの中に入れて連れ帰った。体を洗ってあげ、世話をすると、うれしいことに子犬は回復し始めた。滞在先のリゾート施設の庭で子犬と一緒に遊んでいた」と説明。「その後しばらくすると、子犬は他の子犬がそうするように、ビルギッタたちをかもうとし始め、一緒に遊んでいる最中に彼女たちの指をかんだ」と述べた。
カレスタッドさんは帰国後、体調を崩し、自身が勤める病院で集中治療を受けた。だが6日夜、この病院でカレスタッドさんは息を引き取ったという。
遺族によると、カレスタッドさんと友人らのグループは誰も狂犬病の予防ワクチンを接種していなかった。
遺族はまた、「私たちの愛するビルギッタは動物が大好きだった。私たちが恐れていることは、ビルギッタのような優しい心を持つ人に、こうしたことが起こり得ることだ」と話している。
ノルウェー公衆衛生研究所(Norwegian Institute of Public Health)によると、ノルウェー本国で人間が狂犬病に感染した最後の記録は1815年にさかのぼり、動物への感染例は1826年が最後だという。
世界保健機関(WHO)によると、世界中で少なくとも毎年5万9000人が狂犬病で死亡しているという。【翻訳編集】 AFPBB News
出展:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190511-00000031-jij_afp-int
なぜこの様な悲しい事件が発生したのか?一部始終をまとめてみました。
1.狂犬病とは
狂犬病は、犬あるいは動物だけの病気ではなく、人を含めた全ての哺乳類が感染し、発病すると治療方法がなく、悲惨な神経症状を示してほぼ100%死亡する極めて危険なウイルス性の人獣共通感染症です。本病は、約4,000年前から人類に知られていましたが、高度な医療が確立した現在も、世界では毎年約50,000の人と十数万の動物が発病死していると推定されています。
出展:https://www.jsvetsci.jp/veterinary/infect/01-rabies.html
狂犬病ウィルス画像
出展:https://www.bbc.com/news/world-europe-48226676
狂犬病の特徴
- 初期症状は、動悸、頭痛と発熱
- 症状が進むと幻覚と呼吸困難に襲われます
- 筋肉が痙攣することにより患者は水を飲み込むことができなくなります。
- 発病までの潜伏期間は3〜12週間。
- 狂犬病を発病している動物にかまれたり、なめられたり、ひっかかれたら、患部を遅滞無く石鹸をつけてしっかりと洗い、お医者さんに直ちに診てもらうことが必要です。
- 狂犬病の症状が発覚するとほとんど助かる見込みがありません。
- 狂犬病が発病する前にワクチンを接種することで治療することも可能です。噛まれた後すぐにワクチンを接種すると治りますのでお医者様にかかることが大切です。
- 毎年1,500万人の人々が世界中でワクチンを接種し、その内の大部分の人が助かっています。ただ、手遅れになるケースも少なくありませんので速やかに対処することが必要です。
- 旅行者や動物に触れる機会が多い職業の人は予防接種を受けることが推奨されています。
インドでは毎年30,000人の死亡が報告されています。狂犬病ウイルスの感染源動物は、先進国では主に野生動物で、北米では特にアライグマ、スカンク、キツネ、食虫コウモリ、ヨーロッパではアカギツネが中心になっています。一方、発展途上国では、主に犬や吸血コウモリ(中南米)で、人での発生の90%以上がこれらの国々で起こっています。
出展:https://www.jsvetsci.jp/veterinary/infect/01-rabies.html
2. 被害者のビルギッタさん
被害者のビルギッタさんは美しい金髪の女性で、動物と自然を愛し、ご自身のインスタグラムには様々な動物の写真が掲載されていました。
View this post on Instagram
Velger å bruke dagen på noe vetig. Vin 😎 #browgame #helafamiljen #forendag
View this post on Instagram
Tirsdagsvasken 👼🐱 #adoptme #dyrebeskyttelsenbergen #catsofinstagram #adoptdontshop #bergen
ブルギッタさんは犬に噛まれた後、直ぐに幹部を石鹸で洗い流したそうですが、自身が感染しているかどうか? 疑いもしなかったそうです。
そして、楽しいフィリピン旅行から帰国、6週間後に発病したそうです。
出展:https://www.bbc.com/news/world-europe-48226676
1815年以来、ノルウェーでは狂犬病を発病した患者がいなかったことから、国内の救急室にかけこんだものの医者も症状から狂犬病と断定することができず治療が遅れたとのこと。
彼女の血液から採った検体がスウェーデンに運ばれてそこでようやく狂犬病を発病していることがわかったそうですが、時すでに遅しだった模様です。
出展:https://sosialnytt.com/birgitte-kallestad-24-dode-av-rabies-na-forteller-familien-hva-som-egentlig-skjedde/
ブルギッタさんはWestern Norway University of Applied Sciencesを昨年卒業し、昨年の6月からバイオエンジニアとして働いていた病院で治療を受けていたそうです。
この悲劇が繰り返されない様に、ブルギッタさんの両親は旅行者に狂犬病の予防接種を受ける様啓発活動を行うとのこと。
3. ネットの声
ノルウェーの看護師がフィリピン旅行で道端の子犬と遊んでいたら噛まれたが、消毒だけして済ませていたら帰国後に倒れ、救急外来を訪れたが狂犬病の診断が間に合わず死亡。同国ではこれまで過去200年以上に渡り狂犬病による死亡者はゼロだった。https://t.co/YBqDfknNan
— しんじ@理科実験あそびプロジェクト復興のためお仕事承り中 (@oekakimaestro) 2019年5月10日
ノルウェーの24歳の女の人がフィリピン旅行中に子犬に噛まれ、帰国後に狂犬病で亡くなった。北欧や日本など、わずかな国を除いて狂犬病はふつうに存在する。飼い犬を含め、海外では決して哺乳類に触らないこと。唾液に触れる機会があれば、すぐに暴露後予防接種を。https://t.co/oPlAmvV70J
— 丸山宗利🐜 (@dantyutei) 2019年5月11日
奈良の鹿に噛まれた外国人観光客が、狂犬病が心配だからすぐ病院に行こうとするのも、狂犬病ウイルスがシカ・リス・キツネ・アライグマなどあらゆる哺乳類に感染しうるからで、いちおう日本は狂犬病清浄国だが、旅の衛生の心構えとしては正しい。
— しんじ@理科実験あそびプロジェクト復興のためお仕事承り中 (@oekakimaestro) 2019年5月10日
【遺族明かす】旅先のフィリピンで噛まれ…狂犬病でノルウェー人女性死亡https://t.co/zxwPSgSVyc
道端で助けた「寄る辺のない」子犬に噛まれた。女性は帰国後に体調を崩し、集中治療を受けたが息を引き取ったという。 pic.twitter.com/xjIfxVIR6g
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2019年5月11日
東南アジア、特にベトナムやタイ辺りは、狂犬病発生地図なんか見ると極悪地域だからな。日本はほとんどなくなってて危機意識が薄いなぁとよく感じる。
どんなに可愛くても気安く触ったりするのはアウト。 pic.twitter.com/RxG7NsqF1I— ちぇり (@CheriTheGlutton) 2019年5月11日
4. まとめ
狂犬病が恐ろしいことは知っていましたが、こんなに簡単に発病し、命を落とすことになる恐ろしい病気だということをこの記事をきっかけに再認識しました。
野生でも飼育されているものでも動物をむやみやたらに触らない方が良いということを学習させていただきました。
美しいブルギッタさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。