アメリカのトランプ大統領が米国のイライジャ・カミングス氏を攻撃したことが物議を醸し出しています。
反対派選挙区「ネズミだらけ」=トランプ氏、有力黒人議員中傷-米=
【ワシントン時事】トランプ米大統領は27日のツイッターで、政権批判を繰り広げる野党民主党のカミングス下院議員について「あいつの選挙区は最低。ネズミだらけだ」などと中傷した。
カミングス氏は下院監視・改革委員会の委員長を務める有力黒人議員で、差別的発言として物議を醸しそうだ。
トランプ氏はツイッターで、カミングス氏の選挙区がある東部メリーランド州ボルティモアを「全米一危険で、どんな人間も住みたがらない」と罵倒。「(同氏が首都ワシントンでなく)もっとボルティモアで過ごせば、汚れた危ない所もましになるのではないか」などと書き込んだ。
出展:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190728-00000004-jij-n_ame
米大統領のドナルド・トランプ氏が今度はアフリカ系有力黒人議員のイライジャ・カミングス氏を攻撃したことが物議を醸し出しています。
気になりましたのでイライジャ氏の人物像、彼の選挙区であるボルチモアについてまとめてみました。
1.イライジャ・カミングス氏のプロフィール
イライジャ・カミングス氏は本名と言いイライジャ・ユージン・カミングス(英:Elijah Eugene Cummings)1951年1月18日に米国メリーランド州のボルチモア出身で7人兄弟の3番目として生まれました。
ボルティモア・シティ・カレッジ高校を1969年に優等で卒業、首都のワシントンD.C.にあるアフリカ系アメリカ人の学生が多いハワード大学に進み、2年生で学年代表、生徒会の秘書、そして生徒会長も務めました。
成績優秀な大学生の友愛会でメンバーになること自体が大学生にとって最大の栄誉であるファイ・ベータ・カッパのメンバーになり、1973年に政治学でハワード大学から学士号を取り卒業。
メリーランド州立大学の法学部に進み1976年に法学博士を取得。 19年間弁護士として地元で活躍してから1996年に下院議員として当選して政治の道に進んでいます。
アメリカ中の12の大学から名誉教授として認定されています。
これまでに14年間メリーランド州の下院議員として、また、メリーランド州の立法黒人裁判官、そしてメリーランド州で初めてのSpeaker Pro Tempore (下院議員の中で2番目に高い地位)の職位についたことがあります。
カミングス氏はメリーランド州内外の団体や学校教育機関で役員を務め、その中には、メリーランド州のSEED School協会(経済的に恵まれない学生を支援するための機関)の会長、メリーランド州立大学の相談役が含まれています。
2. イライジャ・カミングス氏の選挙区ボルチモア
イライジャ・カミングス氏はメリーランド州のボルチモア出身で、この街は天然の良港として南部産タバコの輸出港として発展した歴史があります。
アメリカで最も古い街として1797年に開かれたこの街は南北戦争の舞台にもなり、国家や星条旗もここで生まれました。
古くは漁港としても輸出港としても栄、100万人近くの住民が住んでいたのですが、1960年代から施設の老朽化が進み、スラム化が加速し治安の悪化からトランプ大統領が揶揄する様に恵まれた人は近寄らない地域になっています。
居住者はアフリカ系の人種が65%で、世帯の平均収入が3万5千ドル(アメリカの平均世帯年収は6万ドル)と恵まれない人が多いこの地域ですから、イライジャ氏の様な恵まれない人たちに手厚い拠出金の還付などの政策を施す野党の民主党議員が支援されやすい土壌にあります。
(トランプ氏の政策は全米ライフル協会や鉄鋼業界などの役員や金持ちを保護する政策が多い共和党ですので民主党議員とは根本的に相入れることがないのです。)
トランプ氏がボルチモアはねずみだらけと揶揄したのは、そこはスラム化が進み、荒廃した地域ゆえにその様な発言をしているのですが、根底には民主党議員の政策はトランプ氏の政策を真っ向から否定するものとなっているので、トランプ氏は先に4名の女性議員に差別発言をしましたが、本当にトランプ氏が否定したいのはそういった議員ではなく民主党の政策なのです。
しかしながら、トランプ大統領の歯に衣着せぬ発言は人種差別的な内容になっておりますし、メディアがそれをとらえて面白おかしく報道しているのは多くの人が残念な気持ちになってしまいます。
3. ネットの声
カミングス下院議員、トランプ大統領の発言を聞いて「学校の人種融合化が行われた11歳の時のことを思い出さずにおれなかった。我々は野次られ、石や瓶を投げられ、同じ言葉を投げつけられた。『お前らの地区に帰れ』『お前らの出身地に帰れ』と」 https://t.co/2HSYSq5Zvh
— name (@unagi_anago) July 18, 2019
4. まとめ
政策の遂行と差別的発言をごちゃ混ぜにしているトランプ大統領のことが残念ですが、この根底にはアメリカならではの競争の激しさがあるということを忘れてはいけません。
メディアは面白おかしく大統領の揚げ足をとる様なことを報道しますが、トランプ大統領が狙っていることはあくまでも彼の政策の完遂であって、過激な差別発言で人を不愉快な気持ちにさせることではありません。
そこのところをどれだけ多くの人が理解しているかわかりませんが、メディアが発信していることは事実だと、なってしまいがちですから、正しい判断力を多くの人が失ってしまうのがこの報道を見て怖いと感じました。
勿論、トランプ大統領の差別的な発言は許されるものではないでしょう。
しかしながら、我々一般人はメディアの報道を見て、本当のことを言っているか?根底に何があるのか?と言う見方をして自分で判断する癖をつけておかないと扇動されてしまい自分が不利な状況におかれてしまうことも少なくありません。
トランプ大統領の特定議員を揶揄したこととは問題の本質がずれてしまっていますが、メディアって怖いなと思わされた記事でした。